けんちくま
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点群データって何?ドローンで測量すると得られるデータのこと?

建設DXの文脈でよく出てくる「点群データ」という言葉。点群データ(てんぐんデータ)とは、物体や空間の3次元形状を無数の点の集まりとして記録したデータのことです。

1つひとつの点にX・Y・Zの3次元座標が記録されており、膨大な点が集まることで建物・地形・構造物の立体的な形状を表現します。ICT施工の出発点であり、BIM/CIMモデルの材料であり、インフラ点検のデジタル化の基盤でもあります。

それでは詳しく見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 点群データとは何か(何が記録されるか・精度のイメージ)
  • 4つの取得方法(ドローン写真・ドローンLiDAR・地上型・車載型)の違い
  • 建設業での3つの活用場面(ICT施工・BIM/CIM・インフラ点検)
  • 需要が出る企業層と投資家が見るべき論点

点群データとは何か

点群データの1点には、以下の情報が記録されています。

  • X・Y・Z座標:空間上の位置(緯度・経度・高さに対応)
  • 反射強度:レーザー光の反射の強さ(素材・表面の状態を示す)
  • RGB(色情報):撮影した画像から取得する場合に付加される

1回の測量で取得される点の数は数百万〜数十億点に及ぶことがあります。この膨大な点が集まることで、現実の空間を「そのまま」デジタルデータとして記録できる状態が生まれます。

2次元の図面では表現できない立体的な形状・複雑な地形・構造物の細部まで記録できます。

点群データはそのままでは「点の集まり」に過ぎませんが、専用ソフトウェアで処理すると、3次元モデル・断面図・土量計算・出来形管理などに活用できます。

どうやって取得するのか

点群データの取得方法は、主に4種類あります。用途・現場環境・コストによって使い分けられます。

方法 仕組み 主な用途・特徴
ドローン空中写真測量(SfM) ドローンで撮影した複数の写真から3次元モデルを生成 広範囲の地形測量に適する。導入コストが低い
ドローン搭載LiDAR(UAV-LiDAR) ドローンにレーザースキャナーを搭載して空中から計測 樹木下・複雑地形でも高精度計測が可能。コスト高め
地上型レーザースキャナー(TLS) 三脚に固定したレーザースキャナーで周囲を計測 建物内部・トンネル・橋梁の詳細計測に適する
MMS(Mobile Mapping System) 車両・船舶にスキャナーを搭載して移動しながら計測 道路・河川の広範囲を高速に計測できる

ドローン測量の普及により、従来は数週間かかっていた広範囲の地形測量が、数時間〜数日で完了できるようになりました。コストと時間の削減は、人手不足の建設現場で即効性のある省人化効果として働いています。

ドローン測量サービス会社が増えているのも、建設会社が「自社で機材・人員を持つより外注したほうが安い」と判断するケースが多いためで、専門サービスへのアウトソース需要が広がっています。

LiDAR(Light Detection And Ranging:ライダー)は、レーザー光を照射してその反射時間から距離を計測する技術の総称です。高精度な点群データを高速に取得できるため、建設・測量分野での採用が急速に増えています。

建設業での3つの活用場面

点群データは、建設業のDXの複数領域で共通して使われる「情報基盤」になっています。

①ICT施工の起点:3次元測量

i-Constructionが整備したICT施工では、工事前の地形を点群データで3次元測量することが出発点です。

取得した点群データから3次元設計データを作成し、ICT建機のマシンコントロールに活用します。工事完了後も点群データで出来形を計測・検査します。

②BIM/CIMの材料:既存構造物の3次元化

新しい工事だけでなく、既存の建物・構造物をBIM/CIMモデルに取り込む際にも点群データが使われます。

すでに建っている建物の改修工事では、現状の形状を点群データで計測し、BIMモデルとして再現してから設計を進める「現況BIM」の手法が広がっています。設計図が残っていない古い構造物でも、点群データから3次元モデルを作れます。

③インフラ点検:老朽化対応の効率化

橋梁・トンネル・ダムなどの構造物の定期点検にも点群データが活用されています。LiDARや写真測量で取得した点群データを比較することで、前回の点検から変形・ひび割れ・沈下が生じていないかを定量的に確認できます。

目視点検では見落としやすい微細な変化を数値で把握できるため、点検の精度と効率が上がります。

BIMとCIMはどう違うのか:建設業の3次元化が投資テーマになる理由

点群データはデジタルツインの基盤になっている

点群データが持つ本質的な価値は、「現実空間をデジタルデータとして正確に記録・複製できること」です。この考え方が「デジタルツイン」——現実の構造物・インフラと同じデータをデジタル空間に作り、シミュレーション・管理・点検に活用する仕組み——の基盤になっています。

ICT施工・BIM/CIM・インフラ点検という3つの用途に共通して点群データが必要になるため、建設DXが進むほど点群データの取得・処理・管理の需要が増える構造です。

それぞれの用途が個別に増えるだけでなく、同じ現場で複数の用途に使われることもあるため、1件の工事に対して点群データの利用回数が増える傾向があります。

点群データを含む3次元測量の活用は、i-Construction 2.0 の施工オートメーション化(下図)に組み込まれています。

国土交通省 i-Construction 2.0 概要版(令和6年4月) 施工のオートメーション化ロードマップ(3次元データ活用)
出所:国土交通省「i-Construction 2.0〜建設現場のオートメーション化〜概要版」(令和6年4月)p.14。①施工のオートメーション化のロードマップ。3次元測量・施工データの段階的活用促進が示されている。クリックで拡大。
i-Constructionとは:建設現場のICT化を国が後押しする仕組み|ICT施工5ステップと点群測量

需要が出る企業層と投資家が見るべき論点

ドローン測量サービス会社

ドローンを使った3次元測量を建設会社・自治体に提供するサービス企業です。i-Constructionの普及やインフラ老朽化対応の増加につれて、測量需要が継続的に発生します。測量専門会社からの参入と、建設DX企業からの参入が重なっています。

LiDARセンサー・測量機器メーカー

ドローン搭載LiDAR・地上型レーザースキャナー・MMSを製造・販売するメーカーです。LiDARの民生化・小型化が進み、コストが下がるほど利用場面が広がる構造です。

建設・測量用途に加え自動運転・スマートシティ向けとしても採用が進むため、複数の市場からの需要が重なります。建設向け単体の市場規模を超えた成長余地があるカテゴリです。

点群処理・管理ソフトウェア企業

取得した点群データの処理・管理・可視化・BIM/CIM連携を担うソフトウェアの需要です。点群データは1回の取得で数GBから数十GBになることもあり、処理・保存・連携のためのクラウドプラットフォームへの需要が大きくなっています。

インフラ点検サービス会社

橋梁・トンネル・ダムの定期点検にLiDAR・ドローンを活用するサービス会社です。インフラ老朽化対応の予算は政策的に確保されており、点検の効率化・精度向上への需要は継続します。

注意点
点群データは取得して終わりではありません。膨大なデータをどう処理・管理・活用するかが課題です。特に、取得した点群データとBIM/CIMモデルをシームレスに連携させるための標準化がまだ途上にあります。「点群データを取れるようになった」という段階から「点群データが建設業全体の情報基盤として機能する」段階に至るには、標準フォーマットの整備・クラウド基盤の普及・人材育成が並行して必要です。

まとめ

  • 点群データとは物体・空間の3次元形状を無数の点(X・Y・Z座標+反射強度+色情報)として記録したデータで、建設DXの複数領域で共通して使われる情報基盤になっている。
  • 取得方法はドローン空中写真(SfM)・ドローンLiDAR・地上型レーザースキャナー・MMSの4種類があり、ドローン測量の普及で取得コスト・時間が大幅に下がった。
  • 建設業での主な活用は①ICT施工の3次元測量・②BIM/CIMの既存構造物3次元化・③インフラ点検の効率化の3場面で、すべてに共通して必要になる。
  • 現実空間をデジタルに複製する「デジタルツイン」の基盤として、建設DXが進むほど需要が増える構造になっている。
  • 需要が出る企業層はドローン測量サービス・LiDARセンサーメーカー・点群処理ソフト・インフラ点検サービスで、老朽化対応とICT施工の両需要が重なる。