けんちくま
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施工管理って省人化できるの?現場監督が減ったら、誰が現場を管理するんだろう。

建設工事には、現場の安全・品質・工程・原価を管理する「施工管理」業務があります。この管理業務は膨大な記録・確認作業を伴います。技術者不足と法的配置義務が重なる中で、少ない技術者でより多くの現場を管理できる体制を作ることが急務です。

それでは詳しく見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 施工管理とは何か、どんな業務が省人化の対象になるのか
  • なぜ今、省人化が急がれているのか(法的背景・2024年問題・制度改正)
  • 省人化の主な手法(施工管理アプリ・電子小黒板・遠隔臨場)
  • 需要が出る企業層と投資家が見るべき論点

施工管理の仕事はどこが大変なのか

施工管理とは、建設工事を計画どおりに安全・適切に進めるための管理業務です。主に「工程管理・品質管理・安全管理・原価管理・環境管理」の5つを担います。

管理の種類 主な内容
工程管理 工事のスケジュールを組み、進捗を管理する
品質管理 材料・施工が設計基準を満たしているか確認・記録する
安全管理 労働災害を防ぐための点検・教育・記録を行う
原価管理 工事コストを把握し、採算を管理する
環境管理 騒音・振動・廃棄物などの環境負荷を管理する

このうち、特に人手と時間を取られるのが日常の記録・確認作業です。工事写真の撮影・整理・提出、日報・週報の作成、検査・立会い確認への対応、図面・書類の管理——これらは工事の安全と品質を担保するために欠かせませんが、熟練の判断力を必要とする創造的な業務ではなく、「記録と確認の繰り返し」です。

ここが省人化・DXの主戦場です。

なぜ今、省人化が急がれているのか

施工管理の省人化が急がれている背景には、人手不足だけでなく、法律上の制約が重なっています。

建設業法第26条では、一定規模以上の工事に主任技術者または監理技術者の配置を義務付けています。技術者がいなければ、その工事の受注・着工が法律上できません。

技術者1人が同時に担当できる現場数には制限があるため、技術者の管理能力を広げることが、そのまま受注能力の拡大につながる構造になっています。

2024年問題(時間外労働の上限規制)により、長時間残業で複数現場をカバーすることも難しくなりました。

さらに2024年12月の建設業法改正施行では、ICTを活用して現場状況を確認できる場合、請負代金1億円未満の工事について技術者の兼務が認められています。

つまり、施工管理の省人化は「業務を楽にする」という動機ではなく、法的な配置要件を満たしながら受注余力を広げるための条件整備として位置づけられています。

建設業の技能者不足と技術者不足はどう違うのか|役割・法的義務・DX需要の違い

省人化の主な手法

①施工管理アプリによる業務集約

工事写真の管理・日報・工程表・図面共有をクラウド上で一元管理するアプリです。現場と事務所の情報をリアルタイムで共有でき、移動や転記の手間が減ります。複数現場を担当する技術者が、現場にいなくても進捗・書類を確認・対応できる環境を作ります。

②電子小黒板による写真管理の効率化

工事写真には「黒板情報(工事名・工種・測定値等)」を写し込む必要があります。従来は黒板を現場に持参して手書きで準備しましたが、電子小黒板ではスマートフォン・タブレット上でデジタル入力し、写真に自動付加できます。

写真撮影・整理・提出の工数を大幅に削減できます。

③遠隔臨場による立会い確認の代替

遠隔臨場とは、カメラ映像・画像・動画を使って、発注者・監督員が現場に出向かなくてもリモートで確認・承認できる仕組みです。

もともとは一部の立会い確認に適用されていましたが、2024年の国交省「令和6年版国土交通白書」では、立会い確認だけでなく「検査」にも遠隔臨場を拡大する施策が示されています(出所:国土交通省)。検査への適用が広がると、技術者・発注者双方の移動コストが削減できます。

人手不足は建設会社の受注をどう変えたのか|受注余力・選別受注・決算の論点

i-Construction 2.0 が省人化を後押しする仕組み

2024年4月、国土交通省はi-Construction 2.0を策定しました。「施工のオートメーション化」と「データ連携の強化」を柱に、省人化技術の活用を国が後押しする方針です。

i-Construction 2.0 は、省人化技術を使った現場管理を「制度的に認められた手法」として位置づける転換点です(出所:国土交通省)。

コンクリート構造物の配筋確認へのデジタル計測技術導入、プレキャスト製品の活用拡大によるオフサイト化など、現場の人手を減らしながら品質を維持する方向性が明示されています。

遠隔臨場・施工管理アプリ・電子小黒板といったツールが普及した背景には、こうした国の政策的な後押しがあります。

i-Construction 2.0 が掲げる省人化の目標と考え方は、国土交通省の資料(下図)で確認できます。

国土交通省 i-Construction 2.0 概要版(令和6年4月) 目標設定の考え方(省人化・生産性向上イメージ)
出所:国土交通省「i-Construction 2.0〜建設現場のオートメーション化〜概要版」(令和6年4月)p.8。2040年度までに省人化3割(生産性1.5倍向上)を目指す考え方。クリックで拡大。

需要が出る企業層と投資家が見るべき論点

施工管理DX・建設SaaS企業

施工管理アプリ・電子小黒板・遠隔臨場ツールを提供するSaaS企業は、ゼネコン・サブコンの技術者数に応じた導入需要が継続的に発生する構造です。

注目できる理由は、建設会社が一度使い始めると日常業務に組み込まれるため乗り換えが起きにくい点です。現場で技術者が毎日触るツールなので、継続課金が安定して積み上がりやすいビジネスです。

i-Construction 2.0 による政策的な普及後押しも追い風です。これらの企業の決算では、建設業向けの契約件数・ARR(年間経常収益)の推移が確認できる場合があります。

ゼネコン・サブコンの生産性指標

省人化が進んだ建設会社では、1人の技術者が管理できる現場数が増え、受注余力が広がります。ただし、省人化ツールの導入には初期コストが伴うため、短期的にはコスト増、中長期的には利益率・受注能力の改善という形で決算に現れてくる点を頭に入れておくと、業績の読み方が変わります。

短期的にコスト増となるのは、ライセンス料・研修費・導入作業の負担が先行するためです。効果(管理現場数の増加・残業削減)は導入から半年〜1年以上経って数値に現れてくるのが一般的です。

注意点
施工管理の省人化は「現場監督を減らす」ことが目的ではありません。同じ人数でより多くの現場を安全に管理できるようにすることが目的です。記録・確認業務はDXで効率化できますが、現場での判断・安全確認・発注者との調整は引き続き技術者が担います。「ツール導入=即座に技術者が不要になる」とは限りません。

まとめ

  • 施工管理とは工程・品質・安全・原価・環境の5管理で、日常の記録・確認作業が業務の大部分を占める。
  • 技術者の法的配置義務と2024年問題が重なり、少ない技術者でより多くの現場を管理できる体制が急務になっている。
  • 施工管理アプリ・電子小黒板・遠隔臨場が省人化の主な手法で、国交省 i-Construction 2.0 でも国が後押しをしている。
  • 2024年12月改正でICT活用による技術者兼務が認められ、省人化は「効率化」から「受注能力を広げる条件整備」に変わった。
  • 需要が出る企業層は施工管理DX・建設SaaS企業と、省人化を進めたゼネコン・サブコン。短期コスト増・中長期利益改善という形で決算に現れる。